今回から始めます『ゼロから味わう仏教講座』、略して「ゼロ仏」。タイトルの通り、「仏教ってどんな教えなんだろう?」ということをゼロから皆さんと一緒に学んでいきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、第一回目は「仏教」とはどういう宗教なのか?ということを、「仏教」という言葉を解き明かすことで考えていきたいと思い
ます。
「仏教」という言葉には、次の三つの意味があると言われています。
①「仏さまによる教え」
②「仏のさとりの教え」
③「仏に成る教え」
まず最初の「仏さまによる教え」といいますのは、「仏教」が誰によって始められた教えか、ということを表しています。具体的には、さとりを開き「仏」となられた方、つまりお釈迦さまによって説かれた教えである、ということです。
②の「仏のさとりの教え」というのは、お釈迦さまのさとりの教えであることを表しています。その内容は「真理」とも表現されますが、「真理」に目覚めることが、「仏に成る」とか、「さとりを開く」ということになります。その中身については、また次回お話しましょう。
そして三つ目の「仏に成る教え」というのは、仏教は「私」が「仏」と成るための教えであるということを表しています。
特にこの「仏と成る教え」というのが、仏教の大きな特徴となっています。一般的な宗教では、私という「人間」とそれを超えた存在=「神」という存在が、完全に分断されています。「神」は人間に対してなんらかの影響力を行使しますが、人間が「神」に成るということは、特に一神教の宗教では決してありえません。
しかし仏教では、人間を超えた「仏」という存在に成るということが、大きな目的となっています。これが他の宗教と大きく異なる特徴です。
このような特徴を持つ宗教は「汎神教」とも言われます。仏教、その中でも特に大乗仏教は、みんなが「仏」と成ることを目指すための教えであり、この「汎神教」の特徴を持つ教えと言えるでしょう。けれどそれは、あの人もこの人も「仏」に成ることができるということが重要なのではありません。広く全てに、というのは、この「私」が「仏」と成らせていただけるということなのです。仏教は他の誰かのためにあるものでもなく、この私のための教えであると聞かせていただくことが、まず大切なことなのですね。
(『ひろまれ念仏』第3版vol.1より)